「♪贅沢しなくていいんだよ〜、自分で作ればオリジナル〜♪」ということで、「できることはなるべく自分達でやろう」と、リフォームした古家の外壁を自分達で塗ることにした。平家なので足場を組む必要もないので、これなら素人でもできるはず。外壁は、比較的安価な節有りの杉材を使い、「下見板」というちょいと古い日本家屋の工法を用いている。

塗料はペンキなどの有害なものは使いたくなかったので、『かきべん』という天然塗料の「柿渋」と「べんがら」を混ぜたものを使うことにした。

○写真1:「かきべん」を塗る筆者。高い所は僕にお任せ! 地下足袋が気持ちイイのだ。

「柿渋」は、渋柿の果汁をしぼり醗酵させ数年間熟成させて作る昔ながらの塗料です。人畜無害で防腐効果や防虫効果がある。しかも主成分の柿タンニン(ポリフェノール)が、シックハウスの原因物質といわれるホルマリンなどを吸着し無害化してくれるというスグレモノだ。塗った直後はそれほど色は着かないが、太陽光にさらされると徐々に濃い茶色に変色していく。独特の匂いは少々臭うが慣れるとそれほど気にならない。

○写真2:横浜から駆け付けてくれた武澤夫妻。感謝、感謝

柿渋だけでもよいのだが、もうひとつ使ってみたい塗料があった。

「べんがら(弁柄)」は、紀元前から使われていた酸化鉄を原料とする天然塗料だそうだ。インドのベンガル地方で産出したことからその名がついたと言われています。「べんがら」というと普通「赤」を思い起こしますが、焼き方によって酸化鉄の結晶の形や大きさが変り様々な色が出るという。

今回使用した『かきべん』は、この「柿渋」と「べんがら」にゴムやロウなどを混ぜ、耐水性などを改良した「森下弁柄工業」のものを取り寄せた。色は全9色あり、その中の「紫」(というより「小豆色」に近い)にした。

○写真3:ゆうちゃんの高校の同級生! 「イチロウ」を塗る芦澤さん。鉄道マニアの彼は何度か姿をくらませて鉄道の写真を撮りに行っていた!!
○写真4:同じくゆうちゃんの高校の同級生の岡井さん。どこかのホームセンターの店員さんの様な…。お世話になりました。

2〜3日晴れの続く日を選び、何人かの助っ人とともに外壁塗りがスタート。『かきべん』をバケツなどに移し、水で薄めてハケで塗ります。容器の底にたまっていることがあるので棒でこそぎ取ることも忘れてはいけない。一度下塗りをし、乾いたら2度目の塗りを行います。綺麗に仕上げるにはメンディングテープなどで養生した方がよい。

水性なので塗り易く、素人でも簡単に塗れました。

自分で塗ると板の一枚一枚、壁の隅々にまで「気」が入ります。「自分の家だ」という実感がひたひたと湧いてくるのが分ります。

『かきべん』の2度塗りが終わったら、数日おいて仕上げに天然ワックスの「ミツロウ」を塗ります。同じく森下弁柄工業の天然ミツロウワックス『イチロウ』を使いました。外壁などに塗った「かきべん」の色落ちを防ぎ、耐水性を向上させるためです。

夏場の湿気の多い時(特に2003年は)で、乾燥が充分でなかったためか、多少カビが発生した部分もありますが、まずまずの仕上がりとなりました。

○写真5:じゃじゃーん「かきべん」塗り、大成功!!

手弁当で手伝いに駆け付けてくれた武澤夫妻、ゆうちゃんの高校の同級生・芦澤さん・岡井さん、ほんとうにありがとうございました。そして、お疲れさまでした。

皆さんにも是非この天然塗料を使っていただきたいと思います。オススメです。(エージ)


森下弁柄工業 http://www.morishita-bengara.co.jp/

地球生活マガジン『チルチンびと』

季刊「地球生活マガジン『チルチンびと』」(風土社)
日本の伝統的な建築工法やエコロジカルな建築を考えるすばらしい雑誌です。とても参考になります。
「柿渋」を紹介していたのは、No,4 1998 SPRING号「特集・温故知新の住まい術」
お問い合わせは、 ◯風土社 www.fudosha.com