大変だ! ゆうちゃんがサギにはまってしまった!! (えっ、今流行りのオレオレか?)
な〜んちゃって、サギと言っても鳥の鷺(サギ)なんだけどね。驚かせてゴメンなさい。

でも、別の意味で大変なんです。毎日のようにゆうちゃんは、全てのことをそっちのけにし、600mmの望遠レンズを抱えて、いくつかのポイントを自転車で回っている。
追っかけである。昨年(2004年)の1年間で100本以上のフィルムを費やしたのではなかろうか。

車で回ったり僕も少なからず(?)つき合わされました。でも、そのお陰で少しサギについて知ることができ、その美しさや観察の楽しさを知ることができたのです。

というわけで今回はサギのご紹介をしましょう。

○写真1:コサギ : 足先が黄色いのが目印。

ここ一宮町に来るサギは全部で6種類います。(注1)

「シラサギ(白鷺)」と総称されるダイサギ、チュウサギ、コサギ、部分的に亜麻色が入ったアマサギの4種に、大形のアオサギ、そして夜行性のゴイサギです。この6種のサギ達が海岸沿いの保安林に1000羽にもなる混合コロニーを作って繁殖するのです。
 恥ずかしながらそれまで「シラサギ」としか分らなかった白いサギ達が実は4種類に別れていたことも僕は知りませんでした。が、その見分け方を覚えるとこれが結構面白いんです。

コサギは一番小さいタイプで、黒い足にまるで足袋を履いたように足先だけ黄色くなっているので分かりやすい。ただ、足先は水や泥の中に入っている時が多いので飛んでいる時以外は目にするのがなかなか難しかったりもします。嘴(クチバシ)は年中黒い。

問題は、ダイサギとチュウサギの見分け方です。

身体の大きさでは幼鳥などもいると単純には比較できません。嘴の色なども繁殖期とそうでない時では変化してしまうので簡単ではないのです。
春から夏の繁殖期は、両方とも嘴は黒くなりますが、ダイサギの目先(嘴と目の境部分)は青緑色をしています。一方、繁殖期のチュウサギの目先は黄色です。
春先や秋の繁殖期ではない時期の嘴の色は、ダイサギは嘴全体が黄色に変化します。
一方、チュウサギも全体的に嘴が黄色に変りますが先っちょだけ黒い部分が残るのです。

○写真2:繁殖期のチュウサギ : 黒い嘴、目先の黄色が目印。レース状の飾り羽が美しい。
○写真3:繁殖期以外のチュウサギ : 嘴が黄色になるが先端だけ黒いのが特徴。

嘴の形は、コサギとダイサギは細長く、チュウサギはそれに比べて少し短くなっています。これは餌場と餌の違いを表しています。コサギとダイサギの細長い嘴は、水田はもちろん川や沼や池の水の中のドジョウやカエル、魚を補食するのに向いていますが、嘴の短いチュウサギは主に田んぼのドジョウやカエル、昆虫類を食べているようです。

冬場に留鳥として水場に少しだけ残るシラサギはコサギとダイサギで、チュウサギは田んぼが干上がってしまうためか全て渡ってしまいます。

同じことがアマサギにも言え、嘴は短かめです。虫やミミズを餌とするアマサギは畑を耕すトラクターの後ろをちょこちょことついて歩くのをよく目にします。そして冬場は全て渡ってしまいます。

○写真4:繁殖期のダイサギ : 目先がきれいな青緑色をしている。

ちなみに僕はゴイサギのファンである。シックな色使いと変てこな容姿がかわいいし、ピンと出た冠羽も良い。クワックワッという鳴き声なんかなんともいえない愛嬌を感じるのです。夕方、餌場から帰ってくるシラサギ達と入れ違いに夜行性のゴイサギのご出勤です。でも子育て期は昼夜を問わず働いているようで、ほんと健気です。
ゴイサギの幼鳥は茶色の身体に白い星のような点点があることからホシゴイとも呼ばれます。

○写真5:アマサギ : ひょうきんで愛嬌があってカワイイ。

ギャーギャーという恐ろしい声で鳴くアオサギはまるで恐竜の生き残りのようです。羽を広げると160cmもあるらしい。こんなに大形の鳥が近くにいるなんて、なんてすごいことなのでしょう。川に浮かぶボートの上で、ボーっと立ち尽している姿を時々見かけます。一体何を考えているのでしょうか。

○写真6:ゴイサギ : シラサギ類とはちょっと違って首が短くズングリしている。
○写真7:ホシゴイ : ゴイサギの幼鳥。

この子達、よく見てみるとその行動はなんとも愛らしく、みんな微笑ましい。なのに、そんな彼らの存在が危うくなっているのも事実です。レツドデータブックにもこのサギ達の名前が記載されています。人間のエゴのせいで方々で住処を奪われ、隅っこに追いやられているのです。ここ一宮町も例外ではありません。その辺りの話は次回にしましょう。

○写真8:アオサギ : ボートの上でボーっとしている

「白鷺を見ると良いことがある」と近所の中村さんはお母さんに教えてもらったことがあるそうです。陽の光を浴びて輝き舞い飛ぶ神々しいまでの彼らの姿を見ると、そんな言い伝えもまんざら迷信ではないような気がします。今年も沢山のサギ達が見れて、沢山の良いことがありますように。(え)