6月9日曇り時々雨。栃木県の岩舟町小野寺に「里山を再生しよう」というNPO法人・渡良瀬エコビレッジさんのお招きで、バリ島の竹琴ティンクリックによる田植えの伴奏と、ひょうたんの楽器作りのワークショップのために行ってきました。そこで、同日めでたく完成式を迎えたツリーハウスと、その製作者・小林崇さんとご一緒することとなりました。

1完成した小林さんのツリーハウス
○写真1:完成した小林さんのツリーハウス。

 小林崇さんは、あの「♪ダバダ〜」のCM(ネスカフェ・ゴールドブレンド)「違いを楽しむ人」で一躍有名になった日本におけるツリーハウスの第一人者です。CMで見ていた印象とはちょっと違ってマダガスカル帰りの小林さんは陽に焼け、「永遠の少年」といった悪戯っ子ぽい目をしていました。。

2記念撮影
○写真2:記念撮影。左からツリーハウスの吉田さん、小林さん、ポンぴ〜のゆうちゃん、エージ。

 床面まで7〜8mはあるでしょうか。ため池の近くにそびえる樫(カシ)の巨木の上に作られたツリーハウスは、ゲゲゲの鬼太郎ハウスよりかなりオシャレに出来ています。
材料は国産材で、細部にまでアールが施されています。階段と梯子を登って内部に入ると、床から天上に突き抜ける太い枝が何本かニョキッと出ている以外は、普通の木の小屋といった感じで、3〜4畳位の広さがあり充分住めそうです。でも、窓から外を見ると木の梢がすぐ近くにあり、ちょっと大きな鳥の巣箱に居るような、そんな感じがします。きっと鳥達も、これは自分達の住処に相応しいものかどうか、検討している最中なのではないでしょうか。

3ツリーハウス近景
○写真3:ツリーハウス近景。木の梢がすぐ近くに。僕の横にいるのは助っ人に来てくれた木谷くん(左)。ダバダ〜な感じでしょ。
『宇宙船とカヌー』ケネス・ブラウワー著、芹沢高志・訳 ちくま文庫
『宇宙船とカヌー』
ケネス・ブラウワー著、芹沢高志・訳 ちくま文庫

 「ツリーハウス」というと僕は『宇宙船とカヌー』という本を思い出します。宇宙物理学者の父フリーマン・ダイソンとその息子ジョージのお話で、人類が移住するための宇宙船を真剣に考えている父親に対し、カナダ西部の沿岸でツリーハウスに住みカヌーに乗っている息子との対比が淡々と語られ面白い。宇宙船とカヌー、あまりにもかけ離れたものだが、どちらも「永遠の男の子の夢」を追っているという点では似たもの親子ということなのだろうか。しかし、似たもの親子の人生は、けっして交わることはない。それほど二つの価値観の間には深い溝が横たわっていたのだが、最近はこの溝も少しずつではあるが埋められて来ているような気がする。突き付けられた『不都合な真実』の前では誰もが等しく生命の危機にさらされているのだから。

 ツリーハウスも「永遠の男の子の夢」のひとつでしょう。僕もいつかまた作ってみたいものです。子どもの頃に作ったあの時のように。  (え)